交通事故事件をメインに取り扱っている弁護士の中里です。
今回は,40代,男性,嗅覚減退(14級相当)の方が,私に損害賠償請求の示談交渉を依頼された結果,
弁護士介入前の保険会社からの提案額約110万円から
弁護士介入後にまとまった金額約500万円(約4.5倍アップ↑,約390万円増額)になった件のご紹介です。
今回の大きな争点は,①逸失利益,②過失割合の2点でした。
1 ①逸失利益について
逸失利益とは,後遺障害によって,将来得られたであろう収入の喪失が見込まれる場合の,その喪失分のことをいいます。
簡単にいいますと,後遺障害がなかったら,将来の収入1000万円が得られたはずであるのに,後遺障害のせいで,その1000万円が得られなくなってしまった場合,その1000万円のことを逸失利益といいます。
【逸失利益の計算式】
a.基礎収入×b.労働能力喪失率×c.労働能力喪失期間
本件では,被害者の方は,サラリーマンであったため,基礎収入については,事故前年度の年収を使用すれば特に問題ない事例でした。
問題は,「b.労働能力喪失率」と「c.労働能力喪失期間」でした。
嗅覚が減退していることで,労働能力にどれくらいの割合の影響があって,それが何年続くと考えるのが妥当かということです。
料理人の方であれば,嗅覚減退は仕事にかなりの支障がでることは誰でも簡単に予想できますが,例えば,デスクワークの方の場合,嗅覚に異常があるからといってそれだけでお給料が減ってしまうわけではありません。
また,嗅覚減退は一生続く後遺障害である以上,労働能力喪失期間は,労働可能年齢終期である67歳まで続くと被害者側としては主張するのですが,
加害者側としてはやすやすと67歳までの期間を認めてくるわけではありません。
逸失利益については,裁判で提出するような書面を作成し,相手方に請求をかけたところ,まずまずの回答金額を得ることができました。
(※被害者の方からは,早期解決をお願いされていたため,訴訟に移行してさらなる高い金額を求めるということはしておりません。)
2 ②過失割合について
自転車対車の事故で,どちらが先に走っていたかによって,
過失が10%違ってくる案件でした。
過失割合の交渉は,まず刑事記録を取り寄せることです。
刑事記録を検討して,当方に有利な事情,相手方に不利な事情を徹底的に洗い出し整理します。
それをもとに,過失割合の主張を組み立てます。
今回は,最初から相手方保険会社が過失割合は,被害者10%はでると決めつけていました。
私は,そんなことはないとカチンときてましたので(笑),
訴訟の主張書面と同じように徹底的に当方有利に,相手方不利に主張を展開しました。
その結果,無事に被害者の過失0%でまとまりました。
今回は,被害者様の意向もあり,金額重視よりも早期解決重視でまとめましたが,当初の予想よりもかなりいい金額でまとめることができたため,良かったと思っています。
交通事故に遭われてしまった方で,ご自分の損害賠償額がどれほどあがるのか気になった方は,当法人までぜひご相談ください。