こんにちわ。弁護士の中里です。
今回は,先月紹介した解決実績のなかから,事例1についてコメントしていきます。
金額や細かい事情などは,個人情報保護の観点から,おおまかに表現させていただきますのでご了承ください。
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【事例1】10代男性,高次脳機能障害(2級),総賠償額約1億9500万円(示談)
1 事故態様及び過失割合
横断歩道横断中に10代男性が車にはねららたという事故でした。
過失は,横断歩道上を歩行している歩行者の過失は,基本的には0%です。
夜間,幹線道路,直前直後横断などの場合には,歩行者不利に修正されてしまうケースもあります。
今回の事例では,当方の飛び出しが相手方より主張されてもおかしくないケースでした。
そのため,示談段階で当方の過失を主張されていなければ,訴訟までやって過失割合が若干不利に認定されるよりかは,
早期解決の観点からも,示談で解決した方がいいだろうというつもり示談交渉に臨んでいました。
最終的には,当方の過失0%で決着できました。
2 後遺障害の等級及び逸失利益
後遺障害等級は,こちらで予想していたとおりの2級が認定されました。
しかし,交渉が長期化すると,被害者本人がまだ未成年で成長途中であったことから,
少しずつ回復していくと,後遺障害の等級自体を争われかねないリスクがありました。
もちろん,被害者の症状が回復することは,大変喜ばしいことですが,
損害賠償面の観点からは,こちらにとっては不利な状況でした。
最終的には,当初より,訴訟基準での満額回答をいただけない限り,訴訟に移行する
という強い意向を示し続けていたかいもあり,後遺障害等級について特に争われることなく,
逸失利益の金額についても請求とおり満額の賠償を受けることができました。
3 将来介護料
この項目についても,訴訟までいくと,被害者の後遺障害の程度や,回復の状況など調査され,
もしかしたら,こちらに不利に修正されていた可能性もありました。
ですが,近親者介護の日額7000円
職業付添人の日額1万円と認めさせて,総額約5300万円以上を賠償させることができました。
4 慰謝料(傷害慰謝料,後遺障害慰謝料,近親者慰謝料)
入通院期間に対してだされる傷害慰謝料,後遺障害の等級に応じてだされる後遺障害慰謝料については,
裁判基準の満額(100%)を賠償させることに成功しました。
訴訟をやらないと,よく裁判基準の90%までしか出せないと抵抗されることが多いのですが,
今回はそのような保険会社の主張をはねのけることができました。
さらには,示談段階では,あまり認めてくれないことが多い,近親者慰謝料の金額まで賠償してもらうことができました。
5 遅延損害金及び弁護士費用
訴訟まですると,遅延損害金や,弁護士費用を認めてくれることが多いのですが,
示談段階ですと,遅延損害金や弁護士費用まで認めてくれるケースはそこまで多くはありません。
ですが,今回は,きっちりと,遅延損害金及び弁護士費用あわせて約3000万円勝ち取ることができました。
このような多額の遅延損害金及び弁護士費用を訴訟ではなく示談段階で賠償してもらえることは,かなりまれなケースです。
6 総括
弁護士介入後の保険会社の初回回答より,最終回答の回答金額を約6000万円も増額させることに成功しました。
これは,弁護士であれば誰でもできることでは決してありません。
交通事故案件を多数こなし,常に保険会社とは強気で交渉する,
リスクヘッジも相手方にはばれないようにする,
常に依頼者様の目線にたって1円でも相手方に多く賠償させるという強い信念を持っている私にしかできないことだと思っております。
難しい手術は,いわゆる経験豊富な名医にしかできないように,
交通事故案件についても,交通事故に強い弁護士でしかいい結果を勝ち取ることは難しいと思います。
頼む弁護士によって,解決期間や,解決金額が何千万円と大幅に違ってくることがありますのでご注意ください。
(※どんな案件でも必ず金額をあげられるということではございませんので,ご了承ください。)